SDGs
SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)は、「誰一人取り残さない(leave no one behind)持続可能でよりよい社会の実現を目指す世界共通の目標です。2015年の国連サミットにおいて全ての加盟国が合意した「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の中で掲げられました。2030年を達成年限として、17のゴールと169のターゲットから構成されています。
ESD
ESD(Education for Sustainable Development:持続可能な開発のための教育)は、国際的には日本の提唱により、「国連ESDの10年」が2005年から始まり、その後に誕生したSDGsを実現するための教育として国連でも認められました。現在は「ESD for 2030」というグローバルな枠組みの中で、より持続可能な未来に向けて人々の価値観や行動、ライフスタイルに変容をもたらす教育として期待されています。また、日本でも幼稚園教育要領(前文)に「これからの幼稚園には(中略)持続可能な社会の創り手となることができるようにするための基礎を培うことが求められる」と明記されており、ESDの重要性が示されています。
WKA
WKA(Whole Kindergarten Approach:園まるごとSDGs)は、園内の食・エネルギー・ゴミ(プラスチック)・消費などを持続可能性の観点から見直すアプローチ。ESDでは、WIA (Whole Institution Approach)という手法が推奨されており、幼稚園の場合はWhole Kindergarten Approachと呼ばれています。具体的には、園内で提供されている食をオーガニックにしたり、エネルギーを太陽光などの自然(再生)エネルギーにしたり、プラスチック製品を減らしたり購入しないようにしたりすることで持続可能な暮らしを次世代が実際に体験し、よりサステナブルな未来に向けて価値観・行動・ライフスタイルを変えていくことが目指されています。
「持続可能な社会の実現と保育をつなげて考える~地球のために私たちができること~」をテーマにして毎年、年3回ほど小西貴士氏(ハルムアンバサダー)を講師にお招きし研修会を行い、3園合同研修会として学んでいます。現在、「ゴミ・廃棄」「食」「土」「生態系」「エネルギー」の5チームに分かれ、それぞれがテーマを持って研鑽を積んでいるところです。
ゴミ・廃棄
一人ひとりがゴミを減らす意識を高めることが最善であるという視点で、以下のように考えています。物を買う時点から長持ちする物や再利用しやすい素材を選ぶこと、壊れても修理して使うこと、ゴミの分別を徹底することで燃やさなければならないゴミを最小限にするように努めています。
食
園に納品してくださっている農家の方々と連携し、園での野菜販売を行っています。地域の方々とも食の大切さを共有し、さらに子どもたち・保護者の方々にもより理解が深められるよう、栄養士・調理員と共に工夫をしています。
土
土には様々な微生物が含まれており、免疫力の向上や自律神経の安定などに効果があるといわれています。保育のなかで、子どもたちが土を触れることに抵抗なく楽しめるように、土いじり・泥遊び・腐葉土作りなど、遊びを通して親しめる工夫を考えています。
生態系
子どもたちが日頃、どのようなことを感じながら生き物とかかわっているのか、保育者はその子どもの姿から何を捉えかかわっていったらよいのか、などを話し合っています。現在は、子どもたちの好きな「虫」をテーマにして子どもの事例をあげ、保育者自身が生き物の命の大切さを実感していくことも含めて省察しています。
エネルギー
子どもたちと共に、できるだけシンプルでわかりやすく、エネルギーをめぐる体験や遊びを豊かにしていこうと考えています。身近な自然を通して、季節の移り変わりや自然のエネルギーを感じられる取り組みを考えています。
子どもたちとともに、園全体で「できることから始めよう!」とWKA(園まるごとSEDs)の取り組みを行っています。
食品ロス
・食事の際に、子どもたちに食べられる量を聞き調整し、残飯を減らす工夫をする。
・地元農家の有機野菜の皮はむかず、皮ごとそのまま使用する。
(ごぼう、人参、大根、新じゃがいも、かぶ、さつまいも)
・野菜のゆで汁は捨てずに、その日の汁物に使用している。
・出汁を摂る煮干し、昆布なども細かくし汁物に入れている。
他
生ゴミ
・園で出た生ゴミや野菜くずは、コンポストを活用し堆肥として活用している。
・コンポストで堆肥となったものを使用して、子どもたちとおいしく、安心して食べられる野菜と果物の栽培をし、循環型社会へ。
他
3R(Reduce・Reuse・Recycle)
・修理ができるモノ、丈夫なモノを購入して長く使用する。
・使い捨てのモノ(ラップやティッシュなど)の使用削減。
・廃棄ゴミは、ゴミのタンクがいっぱいになった時点で、自主運搬し廃棄所へ運ぶ。
・雨水をタンクに貯め、樹木の水やりや砂遊びなどに使用。
・保育で使用した教材で再利用できるものは、もったいないコーナーに入れる。
・調味料の瓶を返却し再利用。
・調理時に使う醤油は木樽で醸造されたものを業務用タンクで購入して、瓶に入れ替えて使用し、ゴミを資源として分類。
・リサイクル製品(トイレットペーパー、印刷用紙など)の使用。
・ハルム松ノ木保育園では、「生活クラブでんき」と契約し、太陽光パネルや蓄電池を設置して、自然エネルギーの電気の共同供給をしている。
他
ジェンダー
・日々の保育の中での「性の多様性」について、教職員間で話し合う機会をもっている。
・名簿を男女混合。個人のマークなど。
・トイレや着替えの場所の配慮。
・乳幼児期からの性教育について、教職員間で話し合う機会をもっている。
・ジェンダー関連の書籍などを、気軽に手に取れる所に展示し、貸し出しを行っている。
・「多様性」や「自分らしさ」をテーマにした絵本を、子どもたちに読み聞かせをしている。
他
人権
・一人ひとりの声に耳を傾ける。
・子どもが始めたことに、どのような意味があるのか考えている。
・「子どもが遊ぶ権利」を大切にしている。
・子どもの同意を得てから、大人が手伝う。(例:乳児期の鼻をかむ手伝い・排泄の手伝いなど)
他