特色4:豊かな感性を育む環境
本物を周りに
子どもは、全身が感覚器と言われています。全身の感覚で見たもの触れたものを、よいもの悪いもの区別なしに自分で取り込みます。子どもも大人も「そこにいることが心地よい」と思えるような環境づくりを心掛けています。
ぬらし絵
ぬらし絵とは、水分を含めた画用紙に絵の具をのせていく絵のことです。紙の上で、色と色が出合い、調和していくことは、心のバランスに繋がります。そして、ゆったりと筆を動かしていくことで、次第に呼吸のリズムが整っていきます。色と向き合い、色の世界、色の力を味わいます。“上手に絵を描く”ということが目的ではなく、色が滲むことにより色の響きが生じます。そこに“美しさを感じる心”を育てていきます。美しさが目の前にあってもそれを感じる心がないと美しさは感じられません。美しさを感じることは調和を感じることにも繋がります。それは、もっと言ってしまえば、善悪を感じる心にも繋がります。ぬらし絵を通して、心の豊かさや心のバランスを育てていきます。
絵本・素話
子どもの年齢や興味や関心、季節に合わせ、ことばや絵が丁寧に描かれた絵本を厳選し、読み聞かせを行っています。何度も繰り返し、聴くことで、絵本や物語の世界観が、子どたちの中に再現されていきます。子どもたちは、耳で聴いたことを想像力を働かせながら、情景を思い描き、喜んだり、悲しんだり、共感したりして、お話の世界を生きることができます。このような経験は、子どもたちのことばやごっこ遊び、お絵かきといった遊びにも影響を与えます。
わらべうた
ちいさい子どもは、身のまわりの音に耳を傾け、さまざまな音と出合うことで、聴覚を発達させていきます。身近な大人の歌声、風の音、鳥のさえずりなど命ある音との出合いがあってこそ、次の音楽体験へと進めます。
わらべうたは、万葉集作成が終わりの頃(奈良時代)には、すでに歌われていただろうと考えられており、大人がみな働きに出ている間に子どもたちのなかで生まれ、伝えられてきたものです。音域が狭く、歌の数がとても多いことが特徴で、子どもの声帯にはやさしく、バリエーションが豊かです。単旋律を受け入れやすい乳幼児にとって、歌いながら、遊びながら、それに合わせて身体を動かすことは、音楽能力だけでなく、言葉の豊かさ、聞くことの大切さ、社会性、運動機能も発達させていきます。年に数回、ハルムアンバサダーの榎田光代さんを招いて、わらべうたの研修も行っています。
室内装飾・建物
保育室の家具や装飾、保育者の服装などもすべてが、環境要因として子どもたちに影響を及ばしています。室内装飾には、自然物や大人が手仕事した作品、ぬらし絵、ハルムアンバサダーの写真家篠木眞さんがハルムで撮影してくださった写真などを飾っています。自然の素材を存分に使ったハルムこどもえんの園舎が「建築ジャーナル」2013年12月1日発行に、ハルム松ノ木保育園の園舎が2019年11月1日発行に掲載されました。
戸外環境
子どもたちは、草木・花があふれた環境の中で遊ぶことで心身ものびやかに育っていきます。生物学者であり、ベストセラー作家であるレイチェル・カーソンは『センス・オブ・ワンダー』の中で、「わたしは、子どもにとっても、どのようにして子どもを教育すべきか頭をなやませている親にとっても、「知る」ことは「感じる」ことの半分も重要ではないと固く信じています。」と述べています。ハルムでは、自然と出合って五感を働かせることを大切にしています。近くの山や渓谷へ出掛けたりもし、自然環境を生かした保育内容を行っています。美しいもの、未知なもの、神秘的なものに目を見張る感性を育みます。
【引用文献・参考文献】
・クレヨンハウス編集部編(2014)「おうちでできるシュタイナーの子育て「その子らしさ」が育つ0~7歳
の暮らしとあそび」クレヨンハウス
・コーダイ芸術教育研究所(2009)「わらべうた わたしたちの音楽ー保育園・幼稚園の実践ー」明治図書出版
・コーダイ芸術教育研究所(2013)「保育者のための心理学」コーダイ芸術教育研究所
・近藤信子・柳生弦一郎(2007)「にほんのわらべうた全四巻」福音館書店
・レイチェル・カールソン 上遠恵子訳 森本二太郎写真(1996)「センス・オブ・ワンダー」新潮社