ハルムのこだわり
特色1:一人ひとりを尊重し主体性を育む環境

環境を通した保育
ハルムでは、子どもたちが園生活の中で主体的に活動や遊びを展開していくことを大切にしています。そのため保育者は、子どもたちが自分で「何の遊びをするか」「誰と遊ぶか」「どこで遊ぶか」を考えて行えるように、子どもたちの発達や興味、関心、季節に応じて「こんな経験をしてほしい」「こんな風に育ってほしい」といった願いをもって、各保育室や園庭の環境構成を行っています。各保育室に配置されている遊具や用具は、子どもたちの創造性や想像力を高めるモノ、試行錯誤を行いながら取り組むモノなどを選んでいます。

乳児~2歳児クラスでは、保育者が身の回りにある生活用品を利用し手作りの玩具を作っています。感覚が敏感な乳幼児期は、手触り、香り、音、味、舌触りなどあらゆる感覚を使って、モノの特徴を認識していきます。素材の違いを感じられることも大切です。

3~5歳児クラスは、遊びに使うモノを自分たちで作ることができるような、素材や道具を配置しています。具体的には、積み木・粘土・泥・砂・水・絵の具・色々な種類の形や色や厚さの紙・木片・のり・布・自然の草木などです。

遊具づくりのアイディアは、子どもの言動をよく観察し、どんなことに興味をもっているのかを受けとめ、理解していくことから浮かんできます。さらに全クラスが使用する園庭は、ハルムアンバサダーの井上寿さん(一級建築士)のご指導のもと、保護者の協力を得て、整備・改良を行っています。園庭の遊具は、あえて少し難易度の高いものに設定し、子どもたちが思わず挑戦したり、かかわりたくなる魅力あふれる環境づくりを行っています。 私たちが大切にしている「環境を通した保育」とは、モノとのかかわり、人とのかかわり、場所とのかかわりなど、あらゆる環境とのかかわりによって成り立ちます。保育環境に何を準備するかによって、子どもの遊び経験に大きく影響します。常に子どもを育む環境について研鑽しています。

自己主張を十分にする
乳児であっても「自分はこうしたい」という思いがあります。私たちは、その子どもの思いに気づき、実現できるように手助けをします。時には、私たちを悩ませる要求もあります。しかし、「できない」とすぐに諦めたり「駄目」と否定をしないように心がけています。どうしたら実現できるのかを一緒に考えたり、代替案を提案します。そのような経験の積み重ねにより、子どもたちは、安心して自分の思いを素直に表現できるようになっていきます。

子どもの思いを尊重する
子ども自身が「面白がって行う」「自分なりに目標を決めて行った」ときに達成感や充実感を味わうことができます。この繰り返しによって、自分に対する信頼感(自己肯定感)を育むことができるのです。自己主張する力が欠ければ、自己肯定感は育ちにくいといわれます。子どもは、一人ひとりに意志があり、尊重される存在です。子どもの「やりたい!」を十分に満たすことを大切にしています。

特色2:安心安全な食事と感謝の気持ちを育む環境

愛情のこもった手作りの食事
乳幼児期は、体の基礎をつくる大切な時期です。季節や地域を問わず、あらゆる食材が手に入り易くなりましたが、旬の野菜には、栄養素が豊富に含まれています。旬の野菜を中心に、豆類や海草、乾物などのミネラルが豊富な食材を多く取り入れています。選び抜いた食材を用いて、腸内細菌が喜ぶ安心安全な食事を提供しています。素材の持ち味を生かし、薄味に仕上げた日本食中心のメニューがハルムの食事の特長です。また、ハルムでは「おやつ」のことを「軽食」と呼んでいます。一般に3時に食べる軽食(おやつ)は甘いものをイメージしますが、おにぎりやふかし芋、茹でとうもろこしなどの腹持ちが良く、栄養のバランスを考えた食事を提供しています。さらに、伝統行事に食されてきた食事や地域の郷土料理といった日本の食文化を子どもたちに伝えていきたいと思っています。

食材のこだわり
地域の農家が愛情を込めて育てた旬の有機栽培野菜、生活クラブ生協の肉や卵、調味料、乾物類、国産有機大豆を昔ながらの製法で絞ったヤマキの醤油や味噌、東毛酪農の低温殺菌(63℃で30分)牛乳、活性炭入り浄水器を通した水を使用するなど、私たちにできる限り、食材を厳選したり、調理方法を工夫しています。

洗剤
油の切れは悪くても、水を汚さない環境にやさしい合成界面活性剤無添加の石鹸と洗剤を使用しています。敏感な子どもの肌にも安心です。

食器・カトラリー
食器は陶器・磁器・漆器等、コップはガラスと陶器です。「乱暴に使えば壊れる」ことを知り、大切に使うことを学んでほしいと思います。また形は、子どもの手にフィットし、スプーンですくい易い器を選んでいます。スプーンは年齢に応じてサイズを変えています。子どもの食事における発達を考慮したものを使用しています。

離乳食・移行期食・アレルギー除去食
乳児、1歳児クラスのお子さんには離乳食・移行食を提供しています。食物アレルギーをお持ちのお子さんにはアレルギー除去食を実施しています。

特色3:子どもたちの社会性を育む環境

育児担当制
乳児クラスから2歳児クラスまでは、保護者に代わって決まった保育者が食事・睡眠・排泄・着替えの援助を行います。1日の中で一緒にいる時間の長い担当保育者とは情緒的なつながりが深まり、子どもたちは、安定した生活をおくることができます。こういった愛着関係の築きが、人格形成に大きく影響するといわれています。また、睡眠、食事(授乳)の時間を個々の生活リズムに合わせて行い、生理的欲求をすぐに満たせる配慮と快適に過ごせる工夫をしています。担当保育者を決めることによって、その子の特性をしっかりと受けとめ、一人ひとりに応じた丁寧なかかわりを考えて援助していきます。

人とのかかわり
子どもは担当保育者との関係を基盤に、他の保育者や友だちといった人とのかかわりをひろげていきます。 友だちと一緒に遊ぶ中で、遊びのイメージを共感したり、意見を交換したり、時にはケンカをしたりしながら、人とのかかわりを学んでいきます。また、一緒に遊んでいなくても、他の子どもの行っていることをよく見ていて、楽しそうなことを行っていれば、仲間に入ろうとしたり、譲ってもらおうとしたりして、子ども同士のやりとりが生まれます。「入れて」「貸して」と言えるようにすることが、人とのかかわりを育てることではありません。様々な人とのやりとりを経験すること、自分とは違う他者の思いに気づくこと、そういった経験を通して、社会性を育んでいきます。

異年齢のかかわり
年齢の違う子ども同士が生活(遊び)の中でかかわり合える環境をつくります。兄弟姉妹が少ない中で育つ子どもたちに、上の年齢の子どもの遊びや動作を下の子どもが模倣したり、異年齢で生活する中で、社会や集団生活のルールを日常の中で学んでいきます。また、人間関係を豊かにし、優しさ、思いやり、我慢する気持ちを育てます。

人の役に立つことの喜び
自分を十分に受容してもらった経験は、他者を信頼し、共存していくことへの喜びにつながります。自分のことだけでなく、人のために役に立つことを自分の幸せと感じるようになります。他者の喜び、痛みに共感する心を育んでいきます。

特色4:豊かな感性を育む環境

本物を周りに
子どもは、全身が感覚器と言われています。全身の感覚で見たもの触れたものを、よいもの悪いもの区別なしに自分で取り込みます。子どもも大人も「そこにいることが心地よい」と思えるような環境づくりを心掛けています。
ぬらし絵
ぬらし絵とは、水分を含めた画用紙に絵の具をのせていく絵のことです。紙の上で、色と色が出合い、調和していくことは、心のバランスに繋がります。そして、ゆったりと筆を動かしていくことで、次第に呼吸のリズムが整っていきます。色と向き合い、色の世界、色の力を味わいます。“上手に絵を描く”ということが目的ではなく、色が滲むことにより色の響きが生じます。そこに“美しさを感じる心”を育てていきます。美しさが目の前にあってもそれを感じる心がないと美しさは感じられません。美しさを感じることは調和を感じることにも繋がります。それは、もっと言ってしまえば、善悪を感じる心にも繋がります。ぬらし絵を通して、心の豊かさや心のバランスを育てていきます。
絵本・素話
子どもの年齢や興味や関心、季節に合わせ、ことばや絵が丁寧に描かれた絵本を厳選し、読み聞かせを行っています。何度も繰り返し、聴くことで、絵本や物語の世界観が、子どたちの中に再現されていきます。子どもたちは、耳で聴いたことを想像力を働かせながら、情景を思い描き、喜んだり、悲しんだり、共感したりして、お話の世界を生きることができます。このような経験は、子どもたちのことばやごっこ遊び、お絵かきといった遊びにも影響を与えます。
わらべうた
ちいさい子どもは、身のまわりの音に耳を傾け、さまざまな音と出合うことで、聴覚を発達させていきます。身近な大人の歌声、風の音、鳥のさえずりなど命ある音との出合いがあってこそ、次の音楽体験へと進めます。 わらべうたは、万葉集作成が終わりの頃(奈良時代)には、すでに歌われていただろうと考えられており、大人がみな働きに出ている間に子どもたちのなかで生まれ、伝えられてきたものです。音域が狭く、歌の数がとても多いことが特徴で、子どもの声帯にはやさしく、バリエーションが豊かです。単旋律を受け入れやすい乳幼児にとって、歌いながら、遊びながら、それに合わせて身体を動かすことは、音楽能力だけでなく、言葉の豊かさ、聞くことの大切さ、社会性、運動機能も発達させていきます。年に数回、ハルムアンバサダーの榎田光代さんを招いて、わらべうたの研修も行っています。

室内装飾・建物
保育室の家具や装飾、保育者の服装などもすべてが、環境要因として子どもたちに影響を及ばしています。室内装飾には、自然物や大人が手仕事した作品、ぬらし絵、ハルムアンバサダーの写真家篠木眞さんがハルムで撮影してくださった写真などを飾っています。自然の素材を存分に使ったハルムこどもえんの園舎が「建築ジャーナル」2013年12月1日発行に、ハルム松ノ木保育園の園舎が2019年11月1日発行に掲載されました。

戸外環境
子どもたちは、草木・花があふれた環境の中で遊ぶことで心身ものびやかに育っていきます。生物学者であり、ベストセラー作家であるレイチェル・カーソンは『センス・オブ・ワンダー』の中で、「わたしは、子どもにとっても、どのようにして子どもを教育すべきか頭をなやませている親にとっても、「知る」ことは「感じる」ことの半分も重要ではないと固く信じています。」と述べています。ハルムでは、自然と出合って五感を働かせることを大切にしています。近くの山や渓谷へ出掛けたりもし、自然環境を生かした保育内容を行っています。美しいもの、未知なもの、神秘的なものに目を見張る感性を育みます。

【引用文献・参考文献】
・クレヨンハウス編集部編(2014)「おうちでできるシュタイナーの子育て「その子らしさ」が育つ0~7歳
 の暮らしとあそび」クレヨンハウス
・コーダイ芸術教育研究所(2009)「わらべうた わたしたちの音楽ー保育園・幼稚園の実践ー」明治図書出版
・コーダイ芸術教育研究所(2013)「保育者のための心理学」コーダイ芸術教育研究所
・近藤信子・柳生弦一郎(2007)「にほんのわらべうた全四巻」福音館書店
・レイチェル・カールソン 上遠恵子訳 森本二太郎写真(1996)「センス・オブ・ワンダー」新潮社